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プロフィール

井上義久

Author:井上義久
衆議院議員(公明党:比例区東北ブロック)富山県富山市出身
東北大学工学部金属加工学科卒業。

現役職:公明党幹事長

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  • 「東日本大震災発生から3カ月」増田寛也元総務大臣、元岩手県知事と対談

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復旧・復興は“地域の力”で

 東日本大震災の発生から3カ月が経過しました。今なお約9万人が過酷な避難生活を余儀なくされるなど、多くの方々が苦境の中を過ごしています。膨大ながれきの処理に加え、仕事といった自立への課題は、まだまだ解決されていません。東京大学公共政策大学院の増田寛也客員教授(元総務相、前岩手県知事)と復旧・復興への方途について公明新聞紙上で対談しましたので紹介します。

増田 仮設住宅で医療・介護支援を
井上 漁業再建、施設や輸送体制も

増田寛也氏 震災発生から3カ月たっても、津波で破壊された家屋の2階で暮らす方がおられるなど、政府が発表する避難者数以上の方々が、命をすり減らすような生活を送っています。被災地を訪れるたびに、まだまだ復旧段階以前だと痛感しています。

井上 宮城県石巻市の冠水地域を視察しました。この地域は潮が来るたびに水没してしまいますが、住民は先の見通しがつかないため、そこに住み続けなければいけない。政治に関わる人間として、一番つらいし、本当に申し訳ない。

増田 仮設住宅での生活は2、3年続くでしょうから、仮設住宅地の中に地域包括支援センターのような医療と介護をつなぐ施設をつくる必要があります。また、被災地では車が住民の“足”となっており、車の確保も大事な視点です。

井上 仮設住宅では、コミュニティーを保つのが重要ですね。避難所で生活を送る方からは「仮設に入ったらコミュニケーションがなくなる」との声を聞きました。

増田 皆が集まり、話ができる集会所のような施設が必要ですね。

井上 現在、被災地の市町村が独自に復興計画を検討していますが、首長は「必ずやる」と言い切れずにいます。それは、国の方針がはっきりしないからです。国が「地域にある程度任せる」という方針を示せば、市町村は実行できるわけです。

増田 最初からそうであれば、復旧にスピード感が出ていたのですが……。

井上 また、大きな問題なのが、被災者の仕事をどうするかです。 

増田 モノは届くようになりました。だが、仕事がないため収入がなく、モノが買えません。そこで、軽作業でもいいから、仕事をつくり出す取り組みが必要です。避難所では女性が炊事や洗濯を一生懸命やっています。こうした仕事に対し、国が市町村や社会福祉協議会を通じて賃金を支払ってもいい。

井上 それと岩手県や宮城県は漁業関係者が多い。

増田 そうですね。漁業も含めた一次産業の再建が復興のカギになります。

井上 ところが、漁業というのは単に「魚を捕る」だけでなく、「水揚げ」「加工」「流通」とさまざまな工程があります。冷蔵庫や冷凍庫、製氷機といった施設に輸送体制と、全てがワンパッケージでそろわなければなりません。

増田 一つでも欠けると漁業ができない。再建には関係業種を一括して支援することが求められます。一方、原発事故の問題は解決のメドが立ちません。

井上 私は三つの対応が必要だと考えています。一つは、どうやって原子炉を冷温停止状態にするか。二つ目は被災者の救済です。避難指示を出しているのは政府なので、政府が矢面に立つべきです。三つ目が、放射能汚染に対する健康への影響についてです。特に、子どもの健康被害について公明党が提案したのは、校庭や通学路、公園などの除染と、胸などに付けて積算放射線量を計測する「フィルムバッジ」の装着です。15歳以下の子どもが全員付けて、1カ月に1回、被ばく量を調査して健康に問題ないとなれば、親たちは皆、安心できます。

増田 将来像は地元が作るべき
井上 特区活用し施策を大胆に
あまりに遅過ぎる 菅政権の震災対応


増田 菅政権の震災対応については当初、対策本部を乱立したことが問題点の一つに挙げられます。自治体は抱えている問題をどこに相談したらいいか困っていました。

井上 公明党は震災直後、震災対応の司令塔となる「震災担当相」を設置するよう提言しました。そこに権限を集中して、スピード感を持ってやれと。あまりにも遅い菅政権の対応は、誤った政治主導によるものです。

増田 被災地の最前線で作業に当たっている方々の思いに、全く応えていません。

井上 一方、今回は改めて“現場力”ということが注目されました。政府中枢はダメでしたが、現場の力は優れていたと。自衛隊や警察をはじめ、学校の教職員やボランティアの方々もそうです。日本は「現場」に一番大きな力があると実感しました。

増田 ところが、その「現場」の感覚が全くないのが菅政権です。視察に来た政務三役などに首長らが要望しても、何の反応も返ってこない。皆さん、怒っていますよ。

井上 この「現場」「地域」の力を、復旧・復興に最大限に生かさなければなりません。

増田 その具体的なビジョン(将来像)は地元が作るべきです。政府のやるべきことは、各地域の具体的なビジョンを後押しするような条件を作り出すことです。例えば、潮で水没するような土地を国が買い上げ、そのお金を被災者の生活費や、高台への家屋の立て替え費に充てるといったことも可能です。「ここまでは国がやる」という公助の限界を示し、後は地元の人たちがそれに従ってビジョンを描ける条件を整えてあげることです。

井上 同じ三陸地方でも事情が全部違います。各地域で復興計画を立てなければ実態に合ったものは作れません。こうしたことから、私たち公明党が復興基本法案の審議の中で一番主張したのは「復興特区(復興特別区域制度)」です。これは自民党案にも政府案にもありませんでした。「復興特区」に指定した地域で大胆な施策ができるよう主張し、それが基本法に盛り込まれました。この特区をうまく活用して市町村が頑張れるようにしないといけません。

増田 市町村に裁量権を大幅に委ね、その判断を生かす形にすることも大事ですね。

井上 特区に指定された市町村は、規制の特例や金融、税制などの特別措置について、国や県と協議して具体化していきます。例えば、被災地に設備投資をするのは、なかなか大変です。そこで、設備投資に対して即時償却や税額控除などを図るといったことも考えられます。

増田 とにかく、最後は東北人で復旧・復興をやり遂げなければいけない。ご支援をいただいた世界の国々に深く感謝するとともに、東北の被災地の復興を世界の復興につなげていきたいと決意しています。

井上 今回、被災地のサプライチェーン(部品供給網)が途絶えたことで、世界の自動車工場に影響を与えました。東北が持っている役割、力、可能性は大きなものだと再認識しています。公明党が「東日本大震災復旧復興ビジョン」で掲げた「人間の復興」を理念に、互いに支え合っていける社会を築けるよう、思い切った復旧・復興への取り組みを進めていきます。
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2次補正に現場の声を
生活再建へ課題山積み
党対策本部 岩手・大船渡市で復興会議


 6月12日(日)、私が本部長を務める公明党東日本大震災対策本部は、岩手県大船渡市で行われた党岩手第三総支部(山崎長栄総支部長=釜石市議)の「復興会議」に出席し、同県の被災自治体の議員らと意見交換をしました。これには、同対策本部事務局長の石田祝稔衆院議員、横山信一参院議員、党県本部顧問の若松謙維元衆院議員、同代表の小野寺好県議らが出席しました。

 会議では、生活保護を申請する被災者の増加が指摘され、国による財政支援の強化を求める声が出たほか、「被災者は従来の生活保護ではなく、『災害保護』といった新たな制度で救済すべきだ」との提案もなされました。

 また、震災犠牲者の遺族に支給される災害弔意金について、「支給対象に兄弟姉妹も追加してほしい」との要望や、住宅再建に最大300万円を支給する被災者生活再建支援法に関し、「災害発生日から37カ月以内と定められている申請期限は短すぎる」との指摘がありました。

 このほか、「企業などの仮設事務所を公園にも建設できるよう規制緩和を」「日本赤十字社による寄贈の前に家電製品を購入した被災者に、何らかの手当てができないか」「災害時にも携帯電話が使えるよう、携帯各社の総力を挙げて改善してほしい」など、さまざまな意見が出されました。

 私は、こうした現場の要望を今年度第2次補正予算案などに反映させていく考えを示した上で、「政局がどうあれ、復旧・復興のために必要なことは何でもするのが一貫した公明党の方針だ」と強調。「力を合わせて被災者の生活再建に頑張ろう」と呼び掛けました。
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漁業の復旧・復興へ全力
岩手・大船渡市で意見交換


 6月12日(日)、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県大船渡市を訪れ、沿岸漁業者と漁業の復旧・復興を巡り意見交換をしました。これには、横山信一参院議員、小野寺好・党県本部代表(岩手県議)、森操大船渡市議も同席しました。

 席上、漁業者からは「津波で漁船や漁具を失った漁師に対する国からの補助が、同じ漁師の間でも被災状況によって不公平に感じる部分がある」と、現状の問題点を指摘。さらに、東京電力福島第1原子力発電所事故に関連して、水産物への風評被害を防ぐため、放射性物質に関するモニタリング(継続調査)体制の確立を要望。万が一、放射性物質の数値が上昇した場合の補償など、国の万全の対応を求めました。

 参加者は、想定外の津波にも耐え得る漁港や、水産施設の整備などについても意見を交わしました。

 私は、「現場の声をしっかりと受け止め、今年度の第2次補正予算に反映できるよう、全力を尽くしていく」との考えを述べました。