検索フォーム

プロフィール

井上義久

Author:井上義久
衆議院議員(公明党:比例区東北ブロック)富山県富山市出身
東北大学工学部金属加工学科卒業。

現役職:公明党幹事長

詳細はこちら

月別アーカイブ

  • 自然を守る心 広げよう ~野口健氏と対談

20170806_1.jpg

来る11日は「山の日」。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」祝日として制定され、今年で2回目を迎えます。そこで、私と登山家・環境保護活動家として縦横無尽に活躍し、熊本地震などの被災地支援にも取り組むアルピニストの野口健氏で対談。山の魅力や環境教育の大切さ、防災対策などについて語り合いました。その様子が公明新聞に掲載されましたので紹介いたします。


清掃活動で森を大切に 野口
山に親しみ恩恵感じて 井上

井上 野口さんは、冒険家・植村直己さんの著書に感銘を受けて登山を始めたそうですね。

野口 そうです。人生の大きな転機になりました。

井上 私も公明新聞の記者時代、植村さんにインタビューを行い、目標へ挑戦する姿勢に感動しました。

野口さんは「山の日アンバサダー(大使)」としてこれまでの挑戦で培った経験を発信されています。

野口 「山の日」を契機に、山登りの楽しさを広げていきたいですが、近年は遭難も増えており、安全な山登りを啓発する日ともしなければなりません。その上で、日本全体で山がもたらす恩恵に感謝し、山に貢献していきたいです。

井上 日本の山は、国土の約7割を占め、きれいな水を生み出すなど恩恵は大きいのですが、実感している人は少ないのではないでしょうか。この点、野口さんが取り組んでこられた富士山の清掃活動は、山への立派な“恩返し”ですね。

野口 きっかけはエベレスト登山です。現地に初めて赴いた時、ごみが散乱し、日本語で書かれたごみが数多く混じっていました。

外国人登山家からは「日本人はヒマラヤを富士山のようにするのか」と問われましたが、初めは意味が分かりませんでした。そこで、夏の富士山へ行くと、雪に隠れていたごみの量に衝撃を受けました。使用済み注射器や点滴の管といった医療廃棄物、車のタイヤ……。ごみであふれた空間は、人の気持ちを廃れさせる思いがしました。

井上 日本のシンボルである富士山がこうした状況では、外国人観光客も「また来よう」とは思えないですね。

野口 近年、ごみの問題は改善の方向に向かっています。山を身近なものとして大切にしていけるかは、環境教育が重要でしょう。

井上 まずは、自然に接する習慣をつくっていくことからスタートさせる必要があるのではないですか。

野口 日本はアウトドアの経験を増やすべきです。中でも、家族で行うアウトドアは有意義で、欧州では土日に家族でハイキングやキャンプ、カヌーなどに出掛ける家庭が多いです。

日本の環境教育は知識先行型。私が主宰する環境学校でも、自然体験の少ない子どもがほとんどです。

井上 やはり、学校の役割は重要になりますね。

野口 学校の先生は多忙を極めており、先生だけに委ねるのは難しい現状です。地域には山岳会など多様な人材がいます。学校は、こうした“プロ”と子どもたちを結び付ける役割を担ってもらいたいです。

学校登山も充実させるべきでしょう。ぞろぞろ歩くだけでは楽しくなく、山嫌いを増やすだけです。例えば、専門家を招いて興味深い話を交えるなど、工夫すれば子どもたちの山への愛着も増すはずです。



20170806_2.jpg

防災につながる環境保全 井上
登山経験生きたテント村 野口

野口 最近、懸念しているのは森の荒廃です。無理な開発に加え、暖冬でシカが増えるなど気候や生態系の変化による影響もあるでしょうが、森が荒れると山が崩れやすくなります。

井上 7月に九州や秋田を襲った豪雨では、土砂崩れで発生した大量の流木で被害が拡大しました。私も現地で水田に大木が散乱した様子などを目にし、対策の必要性を痛感しました。

一朝一夕には解決しない課題だけに、里山の再生など、防災につながる環境保全を着実に進めたいですね。やはり根本は、自然を守る心を育むことでしょうか。

野口 その通りです。

井上 野口さんは、九州北部豪雨などの被災者支援にも取り組まれていますね。熊本地震では、益城町の総合運動公園内に避難所として「テント村」を設営し、大変喜ばれたと伺いました。

野口 テント村の原点はエベレストなど厳しい環境でも快適に過ごせるよう工夫を凝らしたベースキャンプです。多くの協力を得て、最大600人収容可能な施設が約3時間で完成しました。プライベート空間を確保でき、赤ちゃんの泣き声も気にならないなど、有効性が確認できました。

井上 余震が相次ぎ車中泊する方も多く、エコノミークラス症候群が心配される中、脚を伸ばしてリラックスでき、どれだけ安心されたことか。過酷な状況下で登山の「現場の知恵」が生かされましたね。私たちも学ぶ点が多くあります。

野口 「現場型」という点では公明党の皆さんも負けていません。テント村では地元の公明町議が仮設の洋式トイレ設置に奔走するなど、被災者の生の声を受け止めていました。現場を大切にする公明党にこそ、環境、教育、防災をリードしてほしいです。

井上 ありがとうございます。頑張ります!



のぐち・けん 1973年、米国ボストン生まれ。16歳でモンブラン登頂に成功。以来、キリマンジャロ、マッキンリーなどを踏破。99年にエベレスト登頂を成し遂げ、7大陸最高峰の世界最年少登頂記録(当時)を25歳で達成した。主な近著に「震災が起きた後で死なないために」(PHP新書)